睡眠と免疫の不思議な関係
最近気になるキーワード「免疫」。
体内に侵入してくる細菌やウィルスを外に出したり、体内に抗体を作ってバリアの役割をはたしているのが「免疫」です。しかし、せっかくの免疫も睡眠不足によってパワーが低下してしまいます。
健康のためにいつもの睡眠を見直してみませんか?
どうして睡眠不足と免疫が関係あるの?
睡眠時には成長に関わるホルモンや、からだを修復するホルモンが分泌され、からだの中野様々な機能をメンテナンスしています。からだの疲れを取ったり、心の精神的ダメージを癒したりするなど、日々の健康を保つために睡眠は非常に大切な役割を持っています。
では、なぜ睡眠によって免疫力がアップすることが期待されているのでしょう?
・成長ホルモンによって、睡眠中に細胞を修復する
眠りについてから2〜3時間ほど経過すると、人間の体からは成長ホルモンが分泌されます。
この成長ホルモンは、細胞を修復したり、体全体の疲労を回復させる働きがあり、免疫力と密接な関係があると言えます。
免疫機能が高まった状態をつくるには、毛細血管の血流をよくし体のすみずみまで免疫細胞が届いていること、そしてその免疫細胞が活発にはたらく時間をしっかり確保することが非常に有効です。良質な睡眠には、この状態をつくる力があります。
・睡眠によるストレス解消
自律神経には日中活発になる交感神経と、夜間に活発になる副交感神経があり、それぞれの神経がバランスよく働くことで免疫力は保たれるのですが、過度にストレスがかかると交感神経ばかりが緊張状態になり、活発化してしまい、免疫力低下に繋がります。
睡眠を十分に取ることで、日中働いた脳をしっかりと休め、ストレス解消につながります。
一方、睡眠不足になると、脳が十分に休まらず疲労感が残ってしまったり、自律神経の乱れからさらなるストレスを招くこともあるため注意が必要です。
睡眠時間と免疫機能の関係性は?
最近では「働き方改革」が叫ばれるようになり、加えて、コロナ禍における業務スタイルの変化により、在宅勤務などで労働時間をコントロールする人も増えました。
しかし、引き続き終わりのない残業や、長い通勤時間に苦しむ人も多いでしょう。仕事でなくても、やりたいことがあると削られがちなのが睡眠です。
1日は24時間と決まっているので、どうしても睡眠が一番に削られてしまいます。
しかし最も大切な資産である体の消耗を考えると、7時間は睡眠時間を確保したいところ。
7時間というのは、世界中のさまざまな研究によって導き出された値です。6時間以下の睡眠を1週間続けると、免疫や炎症、ストレス反応などに関連する711個もの遺伝子に悪影響が出たというイギリスでの研究結果もあるそうです。
いつ睡眠を取っても良いというわけではありません。
通常の夜間の時間帯にしっかり深い連続した睡眠を取ることが大切です。理想の就寝時間は22時頃、理想の睡眠時間は7~8時間。最低でも6時間以上は睡眠時間を確保するようにしたいですね。
上に出てきた副交感神経の働きが高まる睡眠中が、ウイルスを攻撃するリンパ球の最大の活動時間です。睡眠時間が減れば減るほどウイルスと戦うための時間も減ります。
質の良い睡眠で免疫力を高めよう
もちろん7時間眠りさえすればいいかというと、答えはNOです。
良質な睡眠でなければ、体に備わった免疫機能を十分に活かすことが出来ません。
現代人は睡眠時間が減っているだけでなく、睡眠の質も大きく低下しています。
人の睡眠は、眠りの深いノンレム睡眠と、眠りの浅いレム睡眠が平均90分の周期で繰り返し行われています。レム睡眠では記憶を定着させるといった働きを、ノンレム睡眠では、成長ホルモンの分泌や、身体の休息といった働きをしています。
ノンレム睡眠の状態になると、副交感神経の働きが交感神経よりも活発化するため、血圧や呼吸が安定し、体や脳をしっかりと休ませることができます。
深いノンレム睡眠に入りやすいのは睡眠初期であることからも、就寝後90分程度でノンレム睡眠の状態に入れると質の高い睡眠を取れるため、就寝前の行動を改めて見直すことが大切です。
・就寝前はスマホ・PCの使用をやめる
スマホやPCから出ているブルーライトは睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌を抑制します。 就寝1時間前には使用をやめるようにしましょう。
・就寝直前の食事を控える
消化活動は睡眠を妨げます。 食事は就寝2~3時間前には終わらせるようにしましょう。 就寝前のカフェイン摂取は覚醒作用があるので要注意です。
健康のためには寝酒をするのも避けましょう。
・からだを温めてからベッドに入る
一時的に体温を上げてから、もう一度下げると眠気を誘発するため、体に睡眠のサインを知らせるためには、お風呂が効果的です。お湯に浸かることで体温が上昇すると血液が全身に循環し、血液と免疫細胞の循環がよくなるため、免疫力アップにつながります。
また、血管が拡張していることで、その分熱を発散しやすく、体温の高低差が生まれることで眠気が生じ、お風呂のリラックス効果も乗じて眠りの質を高めてくれます。
体にとって自然なのは体内時計にしたがって夕方から夜にかけて交感神経が徐々に鎮まり、副交感神経のはたらきが高まる流れです。
これが、仕事などで夜になっても神経が高ぶる状態が続いたり、夜遅く食事をとったりして、眠る直前まで脳や内臓をフル稼働させていると寝つきが悪くなり、睡眠中も交感神経優位の状態がしばらく続いてしまうことになります。
まとめ
毎日の睡眠と健康は密接につながっています。
少しの見直しと工夫で免疫力を高め、健やかな毎日を過ごすことが出来るので、ぜひ今夜のお休み時から意識してみてくださいね。